FILE No.001畑から、食卓までの距離を縮める
藤原 湊株式会社サンプルファーム(サンプル) 代表取締役
- FILE No.
- 001
- 業種
- 飲食・食品
- 公開日
- 2026.11.05
- 聞き手
- 慶應義塾大学 総合政策学部 3年 山本
規格外の野菜を、作り手の名前ごと都市の食卓へ届ける。大学3年の夏、実家の畑で捨てられていく野菜を見たことが起業のきっかけだった。資金が尽きかけた2年目、そして「農家の味方」であり続けるために選んだ道。挑戦の裏側を、学生の聞き手が掘り下げた。
「もったいない」を、仕組みに変える
形が不ぞろいなだけで市場に出せない野菜を、農家さんから適正価格で買い取り、都市部の家庭や飲食店に定期便で届けています。いま契約している農家さんは長野と山梨を中心に約120軒です。
強みは、作り手の顔が見えることですね。箱には必ず農家さんの手書きメッセージを入れています。食べる人が作り手を知ると、食べ物を大事にするようになる。その循環を全国に広げるのが目標です。
実家の畑で見た、捨てられる野菜
学生時代は正直、何者でもありませんでした。サークルを転々として、熱中できるものを探していた感じです。
転機は大学3年の夏休みに実家の手伝いをしたこと。曲がったキュウリが山のように捨てられていくのを見て、これは誰かが仕組みで解決すべき問題だと思いました。就職も考えましたが、自分がやらなければこの景色は変わらない気がして、卒業と同時に起業しました。
売上の半分を捨ててでも、守ったもの
創業3年目に、大手スーパーから大口の取引の話をいただきました。ただ条件は、買取価格を大きく下げること。受ければ売上は倍になる。でも農家さんの手取りは減る。
一晩悩んで、断りました。僕たちは農家さんの味方でいると決めて始めた会社です。あの判断で「何のための会社か」が社内で言葉になり、採用でも同じ想いを持つ人が集まるようになりました。
困ったときほど、— 藤原 湊(株式会社サンプルファーム(サンプル))隠さずに 話す。 それが 一番の 学びです。
口座残高が、2か月分しかなかった
2年目の冬、物流費の高騰で一気に赤字になりました。口座には給料2か月分しか残っていなかった。眠れない夜が続きました。
やったのは、全部のお客さんに電話することです。値上げの理由を正直に話したら、9割の方が「続けるよ」と言ってくれた。困ったときほど、隠さずに話す。それが一番の学びです。
農家さんを、継ぎたくなる仕事に
いま取り組んでいるのは、新規就農者の支援です。定期便の販路を最初から用意することで、農業を始めるハードルを下げたい。
3年後には、うちの仕組みを使って農業を始めた人が100人いる状態をつくりたいですね。「農家になりたい」と言う若い人が増えたら、それが一番うれしいです。
学生からの質問
取材に先立ち、学生から集めた質問に答えてもらいました。
Q. 起業するとき、親に反対されませんでしたか?
大反対でした(笑)。でも、半年分の事業計画を見せて、ダメなら就職すると約束したら最後は応援してくれました。覚悟を形で見せることが大事だと思います。
Q. 経営者に向いている人の特徴は?
あきらめが悪い人、ですかね。賢さよりも、最後まで投げ出さないことの方がずっと大事だと感じています。
違和感を、見過ごさないでほしい
学生時代に感じる「なんかおかしいな」という違和感は、すごく大事です。社会に慣れると、その感覚はどんどん鈍くなる。
全員が起業する必要はありません。ただ、自分の違和感から逃げずに、小さくてもいいから動いてみてほしい。動いた人にしか見えない景色が、必ずあります。
PROFILE
藤原 湊 Minato Fujiwara
1997年長野県生まれ。大学在学中に実家の農業を手伝ったことをきっかけに、規格外野菜の流通に関心を持つ。2019年、大学卒業と同時に株式会社サンプルファームを設立。現在は約120軒の農家と契約し、都市部の家庭・飲食店へ定期便を届けている。
- 会社名
- 株式会社サンプルファーム(サンプル)
- 設立
- 2019年
- 所在地
- 長野県上田市
- 従業員数
- 32名(2026年10月時点)
- Webサイト
- https://example.com/
取材・文:慶應義塾大学 総合政策学部 3年 山本(UNIQUE MONSTERS)/ 取材日 2026.10.08
サンプル記事のため動画は入っていません。
実際の記事では、ここに動画が表示されます。
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